誰かを幸せにするっていいよね！

最近、ふとそんなことを感じる瞬間が増えています。
日々の生活の中でもそうですが、特に海の中で誰かと向き合っているとき、強くその思いが湧いてきます。

長年、PADIインストラクターとして多くの方々にダイビングを教えてきました。
ダイビングの指導というと、「スキルを教える」「安全に潜れるようにする」という側面がどうしても強調されがちですが、実はその根底には、“人を幸せにする”という目的があると感じています。

幸せとは「誰かと分かち合える時間」

ダイビングを始めたばかりの頃、私はただ海の美しさに夢中でした。
青く広がる世界、色とりどりの魚、ゆったりと流れる時間。それだけで十分に幸せだったのです。

でも、インストラクターとして多くの人を海へ案内するようになると、あることに気づきました。
自分一人で感じる幸せよりも、誰かと分かち合う幸せのほうが、何倍も深く心に残るということ。

初めて海に潜る人の緊張した顔が、だんだん笑顔に変わっていく。
海から上がった瞬間、「楽しかった！」「また潜りたい！」と弾ける笑顔を見せてくれる。
その瞬間、こちらまで胸が熱くなるんです。

技術よりも「心」を育てる

もちろん、ダイビングは遊びでありながらも、命を預かる真剣な活動です。
正しい知識とスキルがなければ、安全に楽しむことはできません。

ですが、私が最も大切にしているのは「心の教育」です。
水中という、人間が本来生きることのできない環境に身を置く以上、恐怖や不安を感じるのは自然なこと。
だからこそ、安心して一歩を踏み出せるように寄り添うことが、インストラクターの大切な役割だと思うのです。

相手の呼吸の速さや目の動き、フィンの使い方、浮力のかけ方。
すべてがその人の「心の状態」を映しています。
そこに気づき、支え、導いていく。

スキルを教えることだけが指導ではありません。
「大丈夫、できるよ」という一言が、その人にとって大きな勇気になることもあります。
その一言が、未来のダイバー人生を変えることだってあるんです。

「ありがとう」の一言が、自分を救う

長く指導をしていると、たくさんの「ありがとう」に出会います。
講習を終えたばかりの方、何年も経ってから久しぶりに訪ねてくれる方、「ダイビングが人生を変えた」と笑って話してくれる方。

そのたびに思います。人を幸せにしようとしているつもりが、実は自分が幸せをもらっている。

教えることで、自分も学び、育てられている。
海の中で生徒が成長していく姿を見守ることが、私自身の原動力になっています。

誰かの人生に、ほんの少しでも良い影響を与えられたなら、それはもう最高の報酬です。
お金では手に入らない、本物の“心の報酬”。
この仕事を続けている理由のひとつは、間違いなくそこにあります。

幸せの連鎖を海から陸へ

「幸せ」は伝染します。
笑顔や感動は、次の人の笑顔を生み出す力を持っています。

ダイビングで感じた幸せが、日常の中で優しさや思いやりとなって広がっていく。
海という特別な場所で感じた“人と自然のつながり”が、社会の中でも穏やかな影響を与えてくれる。

そうした幸せの連鎖がもっと増えてほしいと願っています。
だからこそ、ダイブテリーズでは「楽しく」「安全に」「心を込めて」ダイビングを教え続けています。
一人でも多くの人に、海での幸せを感じてほしい。
そしてその幸せを、誰かに分け与えられる人になってほしい。

最後に——幸せは、自分の中にもある

「誰かを幸せにする」というと、特別なことのように思われるかもしれません。
でも、実はとても身近なことなんです。

たとえば、笑顔で「おはよう」と声をかけること。
落ち着いて話を聞いてあげること。
海で見た景色を、誰かに伝えること。
そんな小さな行動の積み重ねが、誰かの幸せにつながります。
そして気づけば、自分の心もあたたかく満たされていく。

海の中でも、陸の上でも、幸せは与えるものではなく“共に感じるもの”。
その繰り返しが、人生を豊かにしてくれるのだと思います。