シリンダーバルブの開け方、どうするのが正しい?
今日は定休日。
午前中は明日からの海の準備。
午後は体を鍛えに。
たまにはこんなのもいいかな。

こんにちは!
PADIインストラクターの我妻です。
ダイビングを始めた頃、インストラクターや先輩から「バルブは全開にしてから1/4回転戻すんだよ」と教わった方も多いのではないでしょうか。
ところが、PADIの最新の教材やガイドラインでは、この「1/4回転戻す」方法は記載がありません。
今回は、なぜそのように変わってきたのか、そしてどちらが正しいのかを、ちょっと書いてみようと思います。
今日のブログは
シリンダーバルブの開け方、どうするのが正しい?
ぜひ読んでみてください。
昔は「1/4回転戻す」が常識だった
この習慣は、古いタイプのKバルブが使われていた時代の名残。
当時のバルブは精度が荒く、強く全開にすると「固着」してしまったり、閉めるときに力が必要になることがありました。
そのため「完全に開けてから少し戻す」という方法が安全策として広まったのです。
また、ほんの少し戻しておけば、緊急時にすぐ閉めやすいという考えもありました。
戻しておくことで開閉方向もわかりやすい!というメリットもあったようです。
つまり、昔は“メカ的にも人の感覚的にも”合理的だった時代があったのです。
現代のバルブは精密設計
現在使われているバルブは、機械精度も高く、金属加工も格段に進化しています。
全開の状態で「詰まる」「壊れる」ということはまずありません。
そのため、現代のバルブでは全開のままにしておくことが最も正しい方法とされています。
PADIの英語教材では、次のように説明されています。
“Open the cylinder valve fully, then turn it back slightly (about a quarter turn) only if the valve design requires it. Otherwise, leave it fully open.”
つまり、「もしバルブの構造が必要とする場合だけ1/4回転戻すが、通常は全開のままで良い」という意味です。
なぜ「1/4回転戻す」方法が問題になるのか
最もよくあるトラブルが、“半開き(または少し開いただけ)のまま潜ってしまう”ことです。
一見するとエアは出ているので気づきませんが、潜降して深度が増すと呼吸抵抗が強くなり、エアの流量が足りなくなる危険があります。簡単に言うと、ある程度の深度下でエアが吸えなくなる!ということ。
これは非常に怖い状況です。
講習現場やファンダイブでも、「あれ、なんか吸いづらい?」というケースが、このバルブの中途半端な開け方によるものが結構多い気がしています。
チェックの際に「全開から1/4戻す」という習慣が残っていると、本人もインストラクターも“全開だと勘違い”してしまうことがあります。
では、どうするのが正解か?
PADIの最新トレーニングでは、次のように指導しています。
「ゆっくりと全開まで開け、止まるところまで開いたらそのままにする。」
それだけです。シンプルで確実。
確認のときに「ほんの少し開ける方向に回してみて、もう回らない=全開」と確認できます。
プレダイブセーフティチェック(BWRAF)をダイビング前に行う習慣を大切にすること。
また、中途半端にバルブが開いている場合、ゲージを見ながらパージボタンを押すと面白い現象が起こります。
これ、今度のダイビングでやってみてください。
でもそのあとに全開にすることを忘れないでくださいね。
実際のブリーフィングでの伝え方
インストラクターやガイドがブリーフィングで説明するなら、こんな英語表現がわかりやすいでしょう。
“Open the cylinder valve slowly and fully, until it stops. Do not turn it back — most modern valves are designed to stay fully open.”
つまり「バルブは止まるまで全開にし、戻さない。現代のバルブはそのまま全開で使うように設計されています」という意味です。
安全を守るための小さな意識
ほんの少しの“習慣の違い”が、安全性を大きく左右します。
海の中で「息が苦しい」と感じた瞬間にパニックになることもありますが、実はその原因が「バルブ半開」なんてことも少なくありません。
こうした事故を防ぐためにも、今の時代に合わせた正しい知識を身につけることが大切です。
まとめ
- 昔のバルブでは「1/4回転戻す」が推奨されていた。
- 現代では「全開にしてそのまま」が基本。
- 中途半端に開いているとエア流量不足の原因になる。
- チェックの際は、軽く開ける方向に回して全開を確認する。
私たちの考え方は常に「安全で確実な方法」を追求しています。
器材や道具の進化とともに、やり方も少しずつ変わっていくもの。
でもその根底にあるのは、いつの時代も変わらない「安全に楽しく潜る」ための哲学です。
小さなことほど、きちんと確認していきましょう。
今日も安全第一で、楽しいダイビングを!
次のダイビングでご一緒できることを楽しみにしています!
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