水温0℃、頭上は氷。それでも潜る理由がある。
土曜日。
今日は知床に向けて器材を発送しました。
このシーズンの北の海の装備はやっぱり重いですね。
宅急便屋さん、よろしくお願いします。

こんにちは!
PADIインストラクターの我妻です。
今年も楽しみにしていた時がやってきました!
来週から知床へ。
毎年恒例の流氷下潜水に行ってきます。
水温は0℃前後。
海の表面には氷、頭上にも氷。
(ここ数年、氷の状態はあんまりしっかりしてないのですが・・・)
いわゆる「寒いダイビング」ではなく、
まったく別の環境で潜るダイビングです。
今日のブログは
1年に1回、この器材で潜る理由。
流氷下ダイビングについて。
来年の流氷ダイビングをちょっと考えてる!という人はぜひ読んでください。
極寒冷地でダイビングする、ということ
まず「極寒冷地でのダイビング」とはどんな世界なのか。
水温は0℃~マイナス。場所によっては氷点下。
海の表面には氷が張り、頭上にも氷があります。
この環境では、
- レギュレーターが凍る可能性
- 指先の感覚が失われるリスク
- 器材の樹脂やゴムが硬化する
- エントリーやエキジットが滑りやすい
- そして頭上は「氷」
普通のダイビングとは、前提条件がまったく違います。
だからこそ、器材も、考え方も、通常のダイビングとは別物になります。
なぜ「特殊な器材」が必要なのか
極寒冷地で一番怖いトラブルは、レギュレーターのフリーズ(凍結)(フリーフロー)です。
低水温下で空気が膨張すると、一気に温度が下がり、
内部の水分が凍りつくことがあります。
結果、内部で動いているはずのパーツが正常に動かないことが起こる可能性があるのです。
そうなると、
- 空気が出っぱなしになる
- 一気にシリンダー圧が減る
といった状況が起こり得ます。
そのため、
- 凍結しにくい構造
- 金属部品主体の設計
- 寒冷地テストをクリアしたモデル
こうした条件を満たした極寒冷地仕様のレギュレーターが必要になります。
グローブも同じです。
水温0℃で濡れた手袋を使えば、数分で指の感覚は失われます。
器材は「快適」のためではありません。
生きて帰るための装備です。
氷の下で潜るということ
氷の下のダイビングは、洞窟ダイビングに近い世界です。
氷がしっかりあれば頭上に「出られる水面」がありません。
出口は、
- 事前に作ったエントリーホール
- ラインで確保されたルート
のみです。
透明な氷越しに差し込む光は美しく、水中は驚くほど静かです。
しかし同時に、
- 浮上できない
- 状況によっては流氷が動く(その可能性があるときは潜りませんが)
- 穴がふさがる可能性がある(これもダイビングが中止になる可能性大です。)
というリスクもあります。
特に知床の流氷は、固定された氷ではなく動く氷です。
風と潮でゆっくり移動し、ときには氷同士がぶつかり合います。
昨日あった出口が、今日はない。
そんなことも起こり得る世界です。
だから流氷下潜水では、
- 潜るルート
- ロープ管理
- チーム連携
- 事前準備
すべてが前提条件になります。
我妻の流氷ダイビング用器材
1年に一度しか使わない器材たち。
今年も、先ほど一足先に知床へ発送しました。
■ ドライスーツ:Waterproof D7X
普段もD7Xを着ていますが、流氷ダイブの時は、サイズアップした別のものを使用しています。
保温性と動きやすさのバランスがよく、極寒の水中でも身体の芯を冷やしません。
インナーを組み合わせることで、
「寒さを感じない」よりも、
寒さに支配されない状態を作るスーツです。
■ グローブ:ドライグローブ(完全防水)
手が一切濡れません。(ちゃんと使えば)
水温0℃で濡れたグローブを使うと、すぐに指が言うことをきかなくなります。
ドライグローブなら、空気層とインナーで保温でき、操作性も確保できます。
ロープを持つ。
バックアップ器材を触る。
カラビナを操作する。
すべて「指が動く」ことが前提です。
■ アイスダイビングフード
顔の露出面積を最小限に抑える専用フードです。
通常のフードよりも、
- 厚み
- 密着性
- 首周りのシール性
が高く、頭から熱が逃げるのを防ぎます。
「頭が寒い」は、体感以上に体力を奪います。
■ レギュレーター:APEKS MTX-RC
極寒冷地対応モデルです。
- 金属パーツ主体
- 凍結しにくい構造
- ミリタリー規格ベース
低温環境でも安定した呼吸ができます。
ほぼ1年に一回しか使わないけれど、この1本があるから、安心して潜れる。
そういう存在です。
極寒の海に潜る意味
正直に言えば、楽なダイビングではありません。
寒い。
準備が大変。
制限も多い。
それでも、氷の下の海には、
- 音のない世界
- 透明な天井
- 流氷の影
- 冬だけの生き物
があります。
そして、この環境で潜るという経験そのものが、ダイビングの幅を広げてくれます。
器材を選ぶ意味。
準備する意味。
チームで潜る意味。
すべてを、あらためて考えさせられる場所です。
今年も知床へ
今年も、流氷の下に行ってきます。
1年に一度だけ使う器材たち。
でも、1年分の緊張と楽しみを詰め込んで。
知床の海の話。
流氷の下の世界。
各SNSに随時アップしますし、可能なら現地からブログも!
お楽しみに!
「少し興味がある」
それだけでも十分です。
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