「平等と公平」なんて言うと、めんどくさい人だと思われますか?
金曜日。
ちょっと頭に浮かんだことがあるのでブログ書いてます。

こんにちは。
PADIインストラクターの我妻です。
今日は少し「理屈っぽい話」をさせてください。
タイトルを見て、「うわ、なんか理屈っぽくてめんどくさそうなインストラクターだな」と思った方もいるかもしれません。
正直、自分でも書きながらそう思います(笑)。
でも、どうしても一度、ちゃんと言葉にしておきたいことがあるんです。
それは、ダイビング指導における「平等(Equality)」と「公平(Equity)」の違いについて。
「楽しく潜れればそれでいいじゃん」――その通りです。
でも、これを知っておくことは、提供する側の飲つトラクターにとっても、受け取る側のみなさんにとっても、海がもっとラクに、もっと楽しくなる魔法のような視点なんです。
今日のブログは・・・
「平等と公平」なんて言うと、めんどくさい人だと思われますか?
ぜひ読んでみてください。
「全員に同じ」は、一見正しくて、一番冷たい
まず、言葉の整理をさせてください。ダイビングの現場において、この2つは意味が180度変わります。
- 「平等」:全員に同じ条件、同じルール、同じ機会を与えること。
- 「公平」:全員が同じゴールに到達できるよう、一人ひとりに合わせてサポートを変えること。
よくSNSで見かけるイラストがあります。背の高さが違う3人が、高いフェンス越しに野球の試合を見ようとしている図です。
平等なアプローチ:全員に「同じ高さの踏み台」を配ること。結果、背の高い人はさらによく見えますが、背の低い子供はまだ試合が見えません。
公平なアプローチ:背の高い人には台を貸さず、子供には2つの台を貸すこと。結果、3人全員が試合を楽しめるようになります。
これをダイビング講習に当てはめてみましょう。
もしインストラクターが「平等」だけを追求する人だったら、元水泳部の若者にも、水が少し怖いシニアの方にも、「全く同じスケジュール、同じ説明、同じ練習時間」を強制することになります。
これって、すごく冷たいと思いませんか?
現場でやっている「えこひいき」の正体
私が目指しているのは、ゲストそれぞれのスタートラインに合わせた「公平」な指導です。
こだわりをいくつか紹介させてください。
器材の「公平」
小柄な方に重いスチールシリンダーやぶかぶかのBCDを背負わせるのは、平等かもしれませんが不公平です。
その人に一番フィットするサイズを、時間をかけて選び抜きます。
それが快適さへの第一歩だからです。
時間の「公平」
スキル習得のスピードは違って当たり前。
苦戦している人がいれば、その人に圧倒的に多くの時間を割きます。
「あの人ばっかりずるい」と思われるかもしれませんが、ゴールは「今日、チーム全員が安全に潜れるようになって帰ること」。
そのための時間配分です。
少人数にこだわるのもそこです。
伝え方の「公平」
論理的な説明が欲しい人には物理の話を。
感覚派の人にはイメージの話を。
一人ひとりの「腑に落ちるポイント」を探して、言葉を選び変えています。
提供する側も、受け取る側も知っておいてほしいこと
ここで、プロとしても、一人のダイバーとしても大切な話をさせてください。
【インストラクターへ】
教えるプロセスは「公平」であるべきですが、「認定規準(合格ライン)」だけは「平等」でなければなりません。
未熟なまま「頑張ったから」と合格させるのは、優しさではなく、将来の事故を招く無責任です。
【みなさんへ】
もし、あなたが先にスキルを達成して、インストラクターが他の人につきっきりになっている時間があったら。どうか「あの人が自分と同じ景色を見られるように、今インストラクターが踏み台を調整しているんだな」と、温かく見守ってほしいのです。
特に「僕」が、海で目指しているところ
なぜ、こんなめんどくさいことを考えているのか。
それは、僕が目指している場所がここだからです。
「どんなに運動音痴でも、どんなに水が怖くても、
僕の前に来た人全員を、一人も置いていかずに『ダイバー』にすること」
最初からスイスイ泳げる人は、僕が教えなくても勝手に上手くなります。
本当に心を燃やすのは、「実は怖くて眠れなかった」という方が、講習の最後に「私にもできた!海ってすごい!」と最高の笑顔を見せてくれた瞬間です。
その笑顔のためなら、どれだけでもめんどくさい男になります。
カルテを読み込み、器材を選び、水中での1秒1秒に思考を巡らせます。


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