インストラクターコラムオーナーブログ

ダイブマスターからIDCへ:浜松で学ぶ“なぜを伝える”プロ育成

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こんにちは。
ダイブテリーズの我妻です。

今、ダイブテリーズではダイブマスターコースを進めています。浜松 ダイブテリーズ

ダイブマスター。
ダイビングをしている人なら、一度は聞いたことがある言葉だと思います。

でも、ダイブマスターになるということを、
「たくさん潜れるようになること」
「ダイビングが上手になること」
「ガイドができるようになること」
それだけで考えてしまうと、ちょっと違うんじゃないかな。

僕はそう思っています。

プロとしてダイビングに関わるということは、単に自分が上手に潜れるようになることではありません。

自分が身につけた知識や技術を、今度は誰かに伝える立場になる。
そして、その人が安全に、楽しく、気持ちよく海を楽しめるように手助けする。
そこには、自分が潜って楽しむのとは少し違う責任があります。

だからこそ、プロになるための勉強では、
「どうやってやるか」だけではなく、
「なぜ、それをやるのか」
を大切にしています。

物事には、必ず理由がある

ダイビングには、たくさんのやったほうがいいことがあります。

器材の扱い方。
潜る前の準備。
バディとの確認。
水中での姿勢。
浮力の調整。
呼吸の仕方。
潜降や浮上。
残圧の確認。
深度の管理。

まだまだあります。

初めてダイビングを習う人からすると、
「そういうものだから覚える」
となってしまうこともあります。

でも、本当は違います。
なぜ、その手順なのか。
なぜ、それを確認するのか。
なぜ、そのやり方をするのか。
そこには必ず理由があります。

私たちは、その理由を「価値」と考えています。

例えば、
「潜る前に器材を確認してください」
と言うだけなら、ただの指示です。

でも、
「水中に入ってから器材の不具合に気づくと、対応するのが難しくなる。だから水に入る前に確認するんです」
と説明すれば、
「ああ、そういうことか」
と分かります。

同じことをやっていても、意味を理解しているかどうかで、その人の行動は変わります。

これって、かなり大事なことだと思うんです。

「やり方」だけを教えない

プロレベルのコースになると、どうしても覚えることが増えます。
知識も増える。
技術も増える。
考えなければならないことも増える。
でも、僕は単純に「たくさん覚えればプロになれる」とは思っていません。

むしろ、
「なぜ?」を考えられること。
そのほうが大切なんじゃないかと思っています。

なぜ、このスキルが必要なのか。
なぜ、この手順なのか。
なぜ、この器材を使うのか。
なぜ、この状況では無理をしてはいけないのか。

そして、
その理由を他の人に説明できるか。
ここが、プロとして大きな違いになってきます。

自分だけが分かっていればいいのなら、それほど難しくありません。
でも、インストラクターやダイブマスターは、人に伝える仕事です。

自分が理解していることを、相手が理解できる言葉に置き換えなければいけない。
ここが難しい。
そして、面白いところでもあります。

難しい言葉を使えば、プロっぽく見える?

ダイビングには専門用語がたくさんあります。
僕も長いことこの世界にいるので、普通に使ってしまいます。

でも、最近は特に思うんです。
難しい言葉を使えば、説明が上手になるわけじゃない。

むしろ逆の場合もあります。

専門家同士なら通じる言葉でも、初めて聞く人には何を言っているのか分からない。
それでは伝わりません。

例えば、
「適正ウェイトで、中性浮力にしてトリムを維持しましょう」
と言えば、ダイバーには分かるかもしれません。

でも、初めての人に、
「中性浮力って何ですか?」
と聞かれたら、そこから説明が必要になります。

だったら最初から、
「水中で沈みも浮きもしない、ちょうどいい状態を作りましょう」
と言ったほうが分かりやすいこともあります。

もちろん、専門用語が悪いと言っているわけではありません。
正しい言葉は必要です。
専門用語も必要です。

でも、
「相手に伝わる言葉を選ぶ」
ということは、プロにとって、とても大切な技術だと思っています。

嫌な言葉を減らす

もうひとつ、僕が大切にしたいのが、
「嫌な言葉を減らす」
ということです。

ダイビングの講習では、できないことを指摘しなければならない場面があります。
危ないことをしていれば、止めなければいけない。
間違っていれば、直してもらわなければいけない。
ここは曖昧にしてはいけません。

安全に関わることなら、なおさらです。
ただ、
「ダメ」
「違う」
「できていない」
だけでは、人はなかなか前に進めません。

「何がダメなのか」
「どうしてそうなるのか」
「どうすれば良くなるのか」

そこまで伝える。

そして、できなかったことを責めるのではなく、
「じゃあ、どうしたらできるようになるかな?」
と一緒に考える。

僕は、そんな教え方が好きです。
(プロになった人は別です。)

危険を避けることを教えるときは、こうすると危険!というのをきちんと説明します。
これを説明しないと、なぜそのスキルを知っておくべきなのかが、理解できないからです。

厳しくすることと、嫌な言葉を使うことは違います。
安全に関わる部分では厳しく。
でも、人に対しては丁寧に。
そのバランスが大事なんだと思います。

伝えるためには、自分が理解していなければならない

そして、ここが一番大事なのかもしれません。
人に分かりやすく説明するためには、自分自身がそのことをきちんと理解していなければいけません。
丸暗記した知識は、少し質問を変えられると答えられなくなります。

でも、
「なぜそうなるのか」
まで理解していれば、言葉を変えて説明できます。

これがプロには必要です。
教科書に書いてあることを、そのまま読み上げるだけなら、誰でもできます。

でも、目の前にいる人を見て、
「この人には、どう説明したら伝わるかな?」
と考える。

それには知識が必要です。
経験も必要です。
そして、人を見る力も必要です。

だから、プロのコースは単にスキルを練習するだけでは終わりません。

いろいろな場面で、「あなたなら、どう説明しますか?」 ということを考えてもらいます。

この秋から、またプロレベルのコースを始めます

今進めているダイブマスターコースに続いて、この秋からもプロレベルのコース、インストラクター開発コース(IDC)を予定しています。

今のところ、
9月に1回。
11月に1回。
そして1月に1回。

そんな予定で進めていこうと思っています。

インストラクター開発コース(IDC)というと
「インストラクターになるためのコース」というイメージが強いかもしれません。

もちろん、それも間違いではありません。

でも僕は、「インストラクターになるためだけの勉強」だとは思っていません。

ダイビングを人に伝える立場になる。
人の安全に関わる。
人の楽しさに関わる。

そのために、自分の知識や技術をもう一度見直す。
そういう時間だと思っています。

だから、プロになったあとも勉強は終わりません。
むしろ、そこからが始まりです。
オンラインと対面を織り交ぜたIDCを開催します。

40年やってきても、まだ考える

僕自身、ダイビングの世界に長くいます。
長くやっているから、もう分かっている。

……そんなことはありません。

海は毎回違います。
人も毎回違います。

同じ説明をしても、相手によって受け取り方が違います。
自分では簡単だと思っていたことが、誰かにとっては難しいこともある。

逆もあります。

だから、「どうしたらもっと伝わるんだろう」と考えることは、今でもあります。

たぶん、これからも考えるんでしょう。
それでいいと思っています。

プロフェッショナルとは何だろう

プロフェッショナルという言葉を聞くと、「すごい技術を持っている人」を思い浮かべる人も多いと思います。

もちろん、それもプロには必要です。

でも、それだけじゃない。
自分ができることを、人にもできるように伝えられる。
その人が「なぜ必要なのか」を理解できるように説明できる。
難しいことを、難しいまま相手に投げない。
必要なことはきちんと伝える。
危ないことは危ないと言う。
でも、相手を必要以上に怖がらせない。
できないことを責めるのではなく、できるようになる道筋を示す。

僕は、そういう人が本当の意味でのダイビングのプロフェッショナルなんじゃないかなと思っています。


ダイビングには、たくさんのスキルがあります。
たくさんの知識があります。

でも、その一つひとつには理由がある。

そして、その理由を知ることで、「やらなければならないこと」だったものが、
「自分を守るために必要なこと」に変わっていく。

それが、そのスキルや知識の「価値」なんだと思います。
だから僕は、これからもプロを育てるときには、
「どうやるか」だけではなく、
「なぜ、それをするのか」
を大切にしていきたい。

そして、
正しいことを、正しい言葉で。
できるだけ分かりやすく。
できるだけ嫌な思いをさせない言葉で。
それを伝えられる人を育てたいと思っています。

ダイビングのプロになるということは、海のことを知ることだけじゃない。
人に伝えることを学ぶことでもある。

今、進んでいるダイブマスターコースを見ながら、そんなことを改めて考えています。

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TORU

我妻 亨(わがつま とおる) PADIコースディレクター No.801010 ダイブテリーズのオーナー兼史上最強雑用係 ダイビングは42年目。PADIインストラクターは38年! 日本国内の南の島のリゾートガイドダイバーから1990年にPADIコースディレクター認定、現在に至る。 ダイビングに関してのことならなんでもご相談ください。 ダイビングのこと、ダイビングの中の話など、書きますのでぜひよろしく!もちろん日常のつぶやきも!いろいろ書くのでお楽しみに!

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