ダイビングを始めるということ
金曜日。
日中にかけては少し暖かさが戻ってきそうです。
季節が進むにつれて本来なら澄んだ青さが増してくる初冬の海ですが、今年はどうも調子が出ません。
台風が一つも来なかった影響なのか、水の入れ替わりが弱いまま推移している印象があります。
それでも、海は常に変化を続ける場所。
このまま低調で終わるとは思っていません。
むしろ、ここから一気にクリアブルーへ向かう期待が高まります。
水中では浮遊系や深海系の生き物たちも少しずつ姿を見せ始め、季節の移ろいを感じさせてくれています。
今週末もどんな出会いがあるのか、胸を弾ませながら海へ!
こんにちは!
PADIインストラクターの我妻です。
日々、店にいると、
「ダイビングってどうやって始めたらいいんですか?」
「ゴールドとシルバーのカードって何が違うんですか?」
「eラーニングって何ですか?」
といったご質問をいただくことがあります。
私たち業界の人間にとっては当たり前のことが、これからダイビングを始めようとする方々にはまだまだ伝わっていない。
これは、私たち現場のインストラクターはもちろん、PADI等の指導機関も含めて、もっと情報発信と啓蒙活動を強化していかなければならない課題だと感じています。
今日は、ダイビングを始めるための具体的なパターンとプロセス、そして、その先にある「本当に到達すべきもの」についてお話ししたいと思います。
ダイビングを始める3つのパターン
ダイビングを始める方法は、大きく分けて3つのパターンがあります。
パターン1:体験ダイビングから始める
最も気軽にスタートできるのが体験ダイビング。
これは、ライセンス(正確にはCカード=認定証)を取得する前に、インストラクターの直接指導のもと、実際に海でダイビングを体験できるプログラムです。
プールや浅い海で基本的な呼吸方法や耳抜きの練習をした後、インストラクターと一緒に水中世界を覗いてみる。
「自分に向いているかな?」「続けられそうかな?」という不安がある方には、まずここから始めることをお勧めしています。
体験ダイビングで「これは楽しい!もっと潜りたい!」と感じたら、次のステップであるライセンス取得コースへ進むことができます。
パターン2:最初からライセンス取得コースに申し込む
ある程度ダイビングについて調べて、「絶対にやりたい!」という意志が固まっている方は、最初からオープンウォーターダイバーコース(OWDコース)に申し込むケースも多いです。
このコースでは、ダイビングの知識、プール(限定水域)講習、海洋実習という3つのステップを経て、認定証を取得します。
ダイビングに必要な基礎知識と技術を総合的に学びます。
最近では、学科講習をオンラインで受講できる「eラーニング」システムも普及しています。
これは、自宅で好きな時間にパソコンやタブレットを使って学科を進められるシステムで、仕事が忙しい方や遠方の方にも便利です。
eラーニングで学科を修了してから、実技講習をダイブテリーズで受けるという流れになります。
パターン3:リゾート地での集中コース
旅行と組み合わせて、沖縄や海外のリゾート地でライセンスを取得するパターンもあります。
ただし、リゾート地でのコースは、帰宅後に継続的にダイビングを楽しむための「地元のホームショップ」との関係が薄くなりがちというデメリットもあります。
理想的には、地元のショップでしっかりと基礎を学び、その後のファンダイブやステップアップもそのショップでサポートを受けるという関係性を築くことをお勧めします。
Cカード取得後のプロセス
認定証を取得したら、それがゴールではありません。
むしろ、そこからが本当のスタートです。
ファンダイビングで経験を積む
Cカード取得直後は、まだ水中での動きもぎこちなく、器材の扱いにも慣れていないことも多いかもしれません。
ファンダイビング(認定ダイバーとして行う通常のダイビング)を重ねることで、少しずつ水中での余裕が生まれ、周囲の景色や生物を楽しむ心の余裕が生まれてきます。
ダイブテリーズでは、初心者向けのファンダイブツアーを定期的に開催していますので、積極的に参加することをお勧めします。
ステップアップコース
基礎的なオープンウォーターダイバーから、さらにスキルアップするためのコースも用意されています。
- アドバンスド・オープンウォーターダイバー(AOW):より深い水深への挑戦、ナビゲーション、ボートダイビングなど、5つの専門分野を学びます
- レスキューダイバー:トラブルの予防と対処方法を学び、自分自身だけでなく他のダイバーの安全も守れるようになります
- 各種スペシャルティコース:水中写真、ナイトダイビング、ドライスーツなど、特定の分野を深く学べます
これらのコースを通じて、ダイバーとしての知識と技術を段階的に高めていくことができます。
詳しくはお問い合わせください。
ゴールドカードとシルバーカードの違いって?
さて、冒頭でお話しした「ゴールドとシルバーのカードの違い」について説明しましょう。
これは、カードの色によってダイバーのレベルが違うという意味ではありません。
実は、あなたがコースを受講したショップのランクによって、発行されるカードの色が異なるのです。
PADIでは、加盟店を以下のようにランク分けしています:
- 5スターダイブセンター(5スターIDセンター):最も高いランクで、インストラクター開発も行えるセンター。ここで認定を受けるとゴールドカードが発行されます。
- ダイブセンター:標準的なランクのショップ。シルバーカードが発行されます
- 個人インストラクター:独立して活動するインストラクター
ダイブテリーズは、PADI 5スターIDセンター。
当店で認定を受けた方にはゴールドカードが発行されます。
ただし、カードの色が違っても、ダイバーとしての認定内容や権限に違いはありません。
あくまでも、どのレベルのショップで教育を受けたかを示すものです。
とはいえ、5スターの認定を受けているショップは、設備、安全基準、教育品質において一定以上のレベルを満たしていることの証明でもあります。
ショップ選びの一つの指標として参考にしていただければと思います。
ダイビング教育の本質〜自立したダイバーになるために
ここまで、ダイビングを始めるための具体的な方法とプロセスをお話ししてきました。
しかし、本当に大切なのは、これらの「手順」ではありません。
現代の教育全般に言えることですが、「自ら知識をつけ、自らの力で様々な活動に参加する」という主体性が求められる時代です。
にもかかわらず、「とりあえず誰かに全部教えてもらえばいい」「お金を払えば何とかしてくれるだろう」という他力本願な姿勢の方も少なくありません。
ダイビングは、楽しいレジャーであると同時に、自己管理と自己責任が求められるアクティビティです。
水中という特殊な環境では、すべてを他人任せにすることはできません。
到達すべき本当のゴール
ダイビング教育を通じて、私たちが皆さんに到達していただきたいのは、以下のような「自立したダイバー」としての姿です。
1. 自分の安全を自分で守れる知識と技術
インストラクターやガイドは、もちろん皆さんの安全をサポートします。
しかし、最終的に自分の身を守るのは自分自身です。
器材の使い方、トラブルへの対処法、自分の体調管理など、基本的な知識と技術を「自分のもの」として身につけることが不可欠です。
2. 継続的に学び続ける姿勢
Cカード取得は通過点であり、ゴールではありません。
海の環境は常に変化し、器材も進化し、新しい知識も増えていきます。
「一度習ったからもういい」ではなく、経験を重ねながら学び続ける姿勢が、より安全で楽しいダイビングライフにつながります。
3. 海洋環境への意識と責任
ダイビングを通じて、私たちは海の美しさと脆弱性の両方を目の当たりにします。
サンゴを傷つけない、生物に不用意に触らない、ゴミを持ち帰るといった基本的なマナーから、より広い環境保護への意識まで、海を愛する者としての責任を持つことが大切です。
4. ダイビングコミュニティの一員としての自覚
ダイビングは、単独で楽しむものではありません。
バディシステム(二人一組で潜る)を基本とし、ダイバー同士が互いに助け合うコミュニティの中で成り立っています。
自分だけが楽しければいいのではなく、仲間の安全にも気を配れる、成熟したダイバーになっていただきたいのです。
5. 主体的に情報を集め、判断する力
「このコースを受けるべきですか?」
「次は何をすればいいですか?」
と常に誰かに聞くのではなく、自分で情報を集め、自分の目標やレベルに合わせて次のステップを選択できる力。これこそが、教育の最終的な目標です。
情報発信の課題と私たちの責任
冒頭でも触れましたが、ダイビング業界全体として、初心者への情報提供がまだ十分ではないという課題があります。
業界用語が飛び交い、「当然知っているもの」として扱われる情報が多い。
ゴールドカードとシルバーカードの違いのように、業界内では常識でも、外から見れば謎だらけということが山ほどあります。
私たち現場のインストラクターも、PADIなどの指導機関も、もっと分かりやすく、丁寧に、そして積極的に情報を発信していく必要があります。
ウェブサイト、SNS、ブログ、動画など、あらゆる手段を使って、「ダイビングの世界への入り口」を広く開いておかなければなりません。
同時に、これからダイビングを始める皆さんにも、「分からないことは遠慮なく質問する」「自分から情報を取りに行く」という姿勢を持っていただきたいのです。
「こんなこと聞いたら恥ずかしいかな」と思うような基本的な質問こそ、実は多くの人が疑問に思っていることです。
そうした質問が、業界全体の情報発信を改善するヒントにもなります。
最後に
ダイビングは、海という非日常の世界で、自然の美しさと神秘に触れられる素晴らしいアクティビティ。
色とりどりの魚たち、幻想的な光のカーテン、無重力に近い浮遊感。
一度その魅力を知ったら、きっと生涯の趣味になるでしょう。
しかし同時に、それは「ただ楽しむだけ」では終わらない、深い学びと成長の機会でもあります。
安全管理、環境への配慮、仲間との協力、そして何より、自分自身と向き合い、自分の限界と可能性を知ること。ダイビングを通じて得られるこれらの経験は、水中だけでなく、日常生活においても大きな価値を持つはずです。
これからダイビングを始めようと考えている皆さん、ぜひ一歩踏み出してみてください。
そして、ただ「資格を取る」だけでなく、その先にある「自立したダイバー」としての成長を目指していただければと思います。
私たち現場のインストラクターは、その旅路を全力でサポートします。
質問も、不安も、遠慮なくぶつけてください。一緒に、安全で楽しいダイビングライフを築いていきましょう。
そして業界全体としても、もっと開かれた、分かりやすい情報発信を続けていくことを、改めてここにお約束します。
ぜひ私たちとダイビングしましょう。
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